シロクロ番外編〜BANGAI〜


  好き好き大好き


 黒滝くんが可愛くてしかたがない。
 真っ黒な瞳はずっと俺だけを見ていて欲しくて。
 特徴のない、平凡な声は俺の名前だけを呼んで欲しくて。


 黒のシャツに迷彩のトランクス姿で窓の外を眺めていた黒滝くんへと近づけば、腕を彼の腰へとまわす。
 すると突然のことに驚いた反応を示す彼へ顔を寄せればその額へと口付けを落とす。


「青木葉さん?」


 窓の向こうから、学校へ向かう学生や仕事へ向かう社会人からの視線を感じる。
 けれどそんなことも気にせずに瞼、頬へと唇を落としていくと、されるがままになっていた彼が慌てたように声を上げた。


「ちょっ、青木葉さん。ここ外から見えるから──」


 開いていた唇に自分のを重ねた。
 逃がさないように腰にまわしていた腕に力を込め、彼の口内へと舌をねじ込む。
 舌先に触れたやわらかなものに自分のものを絡ませると、水気の音が辺りに響く。
 彼の手が俺の肩に触れ、引き剥がそうとしているが全く力が入っていない。
 それをいいことに、腰にまわしていない方の手を彼のトランクスの中へと滑り込ませる。
 その瞬間、彼の体が大きく跳ね上がる。

 そこでようやく唇を離すと、熱を持った黒滝くんの目が俺をとらえた。
 もう窓の外からの視線を気にしていないのか、肩に触れていた両腕を背中へとまわし俺を求めた。
 そんな彼に答えるよう、トランクスを下ろし片足を持ち上げ、その中心に自分のを添え腰を進めた。




────

「青木葉さんなんか嫌いだ」


 ベッドで、俺に背中を向けている黒滝くんがそんなことを言ってきた。
 そんな彼の腹へと腕をまわせば体を引き寄せ、露になっている首筋へと顔を埋める。


「……人の話ちゃんと聞いてるか?」

「俺は黒滝くんのこと好きだよ」


 首に緩く噛み付いてから肘を付いて体を起こし、彼の顔を覗き込んでみるとほんのり顔を上気させながら俺を睨んでいた。


「黒滝くんも、嫌いなんて嘘でしょ」


 緩く笑いながら口付けようと顔を寄せるが、すんでのところで避けられてしまった。
 少なからずショックだったのは言わないでおこう。


「……シロのほうが好きだ」

「…………いやいや、いやいやいや」


 そりゃないでしょ、と浮かべていた笑みを引きつらせながら彼の顔をこちらへ向けようとするが、彼に触れるよりも先に彼自身が俺に顔を向けた。


「青木葉さんのことは愛してる」


 予想外の言葉。
 その言葉の意味を理解した俺は熱くなる顔を押さえながらベッドへと倒れ込む。
 そんな俺を見てか黒滝くんは笑い、口付けを落としてきた。


 黒滝くんが可愛くてしかたがない。
 俺のことを突き放したかと思うとすぐに包み込んで。
 俺の中が黒滝くんでいっぱいで幸せだ。




  (終)