白黒病〜YAMI〜
だって、仕方ない
「クーロちゃん。おはよー」
「おー、おはよ」
学校への道を歩いていると背から聞き慣れた声が聞こえたため、振り向くとヘラヘラっと笑っている赤嶺の姿が。
なにを考えてるかわからないけれど、幸せそうでなによりだ。
「そういえばクロちゃん。昨日、不良に絡まれたって言ってたよね?」
「あー、そんなことも言ってたな」
二人で学校へ向かっていると、振られた話題に昨日のことを思い出す。
あれは学校帰りだった。
突然、複数の不良たちに囲まれたかと思うと、金を寄越せだの殴らせろだの言ってきたのだ。
特に動じることもなくどう切り抜けるかと考えていたら、そこに金久保がやってきた、という簡単な話だ。
「俺、ちゃんと痛め付けといたから」
「一人で?」
「そ。ちょっと一人の男の前歯折っちゃったけどきっと大丈夫だよねー」
「いや、やり過ぎだろ」
「えー、クロちゃんのためにやったのに嬉しくない?」
「嬉しくないって言ったら嘘だけど……でもやり過ぎ注意だな」
「仕方ないなぁ、クロちゃんがそう言うなら」
とか言っても、いざ殴り合いになったら手加減しないんだろうな、と小さな溜め息をこぼしてしまった。
(終)
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