悪夢あげいん〜AKUAGE〜
俺は今、拉致られている。
顔全体は布のようなもので覆われ、前が見えない。
どうやら米俵のように抱えられているらしく、腹にくる衝撃が吐き気を呼ぶ。
「ちょ、待っ……うえ」
「おい、吐くなよ? 絶対に吐くなよ?」
それは、吐いてもいいという振りか。
腹からの衝撃にそう言葉にすることができるはずもなく、俺は遠慮なく顔を覆っていた布に込み上げてくるものを吐き出した。
うん、昼飯にカレーを食べたのは失敗だったな。
どうやら吐いたことがショックで少しだけ意識を失っていたようだ。
重い瞼を持ち上げてみると、見覚えのない天井が。
辺りを見渡してみるとどうやらソファで横になっていたみたいだ。
ゆっくりと体を起こすと背後からチクチクと視線を感じたため、振り向いてみる。
するとそこにはすごい形相で俺を見下ろしている男の人がいました。
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