悪夢あげいん〜AKUAGE〜


 男の人の名前は二階堂(にかいどう)。
 俺の通っている学園の横に建てられている寮の長をしている。
 ということは今いるここは寮長さんの部屋か。


「あの、すごい顔してますけど元々そんな顔でしたっけ」

「いーや、違う。お前のおかげでこんな顔になってる」

「ですよね。俺が吐いたからですよね、すいません」


 ソファの上で正座をしては、そのまま頭を下げる。

 美形の人には逆らわないほうがいい。
 俺がこの学園に通うようになって一番最初に思ったことはそれだった。

 この学園はちょっと――いや、かなり異質だ。
 昔の理事長が自然が好きだからと、なにもない森の中に学園がつくられた。
 そして学生を募集したところ、全員が男子だった。
 女子は虫が出そうな森の中の学園なんかには通いたくない、ということだそうだ。

 そのせいでこの学園は男子校となってしまった。
 だが普通の男子校と違うことは、ソッチ系の人が多いということか。
 話を聞くと、昔はどうやらソッチ系の人ばかりではなかったそうだ。
 ただ、女子に飢えた男子が学園を出ていったり、飢えすぎて男子を襲っていたら自然とそうなってしまったらしい。

 全く恐ろしい話だ。


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