悪夢あげいん〜AKUAGE〜
「絶対に吐くなっつったのに吐くんだもんな」
「いや、そういう振りなのかと思いまして」
「は?」
「なわけないですよねー」
「当たり前だ。っと、そういや今さらだけどコーヒーでいいか?」
「あ、結構です」
「俺のコーヒーが飲めないってか?」
「ありがたく頂きます」
しかし、拉致られたというのになんで普通に会話してるんだ、俺は。
確か寮長さんとは今まで一度も話したことがなかったはずだ。
いや、なかったはずだ、じゃなくて確実にない。
こんなにも黒髪が似合う美形な人と話したら狙っている人たちに制裁されるからな。
俺は平和が大好き。
平和一番。
そう考え、一人でウンウンと頷きながら入れてもらったコーヒーを飲んでいると突然、小さな紙を差し出された。
そこに書かれていた文字に口に含んでいたコーヒーを吹き出してしまったのは仕方がないと思う。
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