悪夢あげいん〜AKUAGE〜
俺はこの学園に友人はいない。
これから先もこの学園で友人をつくろうとは思わない。
それが寂しくないと言ったら嘘になるんだけれど。
「でも制裁されるよりはマシだよな」
短く息を吐き出してから目の前のとびらを開くためにカードキーを取り出し、ドアノブの上の隙間に差し込もうとしたときだ。
「え」
突然、目の前のとびらが開いた。
顔を上げてみると逞しい胸板が。
じゃなくて、ルームメイトの五条(ごじょう)の姿があった。
「た、逞しい胸板ですね」
「失せろ」
「はい」
ルームメイトの五条は学園でも有名な不良さんです。
特徴的な真っ赤な髪に、舌先に付けられたピアスが痛そうだといつも思う。
しかし上半身裸でどこに行くんだろうか。
五条にセフレがいるという話は聞いたことがない。
まあ、ネコに人気なのは間違いないけれど。
「……煙草、か?」
そういえばいつもくわえている煙草を今日はくわえてなかったな。
→ top