悪夢あげいん〜AKUAGE〜


 そんなことを考えながらリビングへ戻ってくれば真っ直ぐ冷蔵庫へ。
 鼻歌を歌いながら戸を開いた俺は固まった。

 ない、ない、ないぞ!


「俺のプリン!」


 プリンの蓋にちゃんと『一森(かずもり)』って自分の名前を書いて一番上の段に入れていたはずだ。
 それがなぜか、俺の大事なプリンちゃんは梅干しに変わってました、ちゃんちゃん。


「って、梅干しってなんだよ!」


 こんなもの買った記憶がない。
 ということは五条のものだろうか。
 いや、そんなことはどうでもいい。
 今は行方不明のプリンちゃんを探すほうが先だ。

 冷蔵庫の戸を閉じて辺りを見渡すが綺麗に片付けられている。
 そんな綺麗な中一つだけ、シンクに放られているスプーンが目にとまった。


「まさか、まさかな」


 そう言葉を繰り返しながらゴミ箱の蓋を開いてみる。
 するとビニール袋や紙などが突っ込まれている中に、俺の探していたものはあった。
『一森』と名前の書かれた、すでに中身のない無残な姿の俺のプリンちゃん。


「……ごじょぉぉおッ!」


 俺のプリンちゃんを返してくれ!


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