悪夢あげいん〜AKUAGE〜






 今、俺は寮内にあるコンビニに向かっている。
 いや、正確には『向かっていた』だが。


「なあ、地味男。金くらいは持ってんだろ?」

「俺たちも心広いからさ、それで許してやるって言ってんだよ」


 なぜカラフルな頭をした不良たちに絡まれているのか、わかる人がいたら説明して欲しい。
 コンビニの前でたむろっていた不良たちが邪魔で偶然を装って蹴ってしまったことが原因だろうか。

 いや、確実にそれが原因だな。


「財布の中に五百円しか入ってないんですけど」

「はあ? テメェ、五百円とかバカにしてんのか!?」

「いや、だってただプリン買いに来ただけなんで――」

「めんどくせぇ。金ないならケツ貸せよ」


 その言葉に驚いたのは俺だけじゃなく、その隣にいた不良もだった。
 なんでお前も驚くんだよ。


「え? お前こんな地味男でもヤれんの?」

「俺こういう顔のがタイプなんだよな」

「うへ、ありえねぇ」


 どうやら二人で話が弾んでいるようなのでお邪魔虫は退散することにしようか。
 そう思い踵を返した瞬間、背後から肩を掴まれた。


「逃げないで俺と楽しもう――ブフォッ!」


 なにかが猛スピードで俺の顔の横すれすれを通っていった。
 かと思うと俺の肩を掴んでいたであろう男の潰れる音が辺りに響いた。
 もう一人の男が潰れた男の名前を叫んでいるが、前方へ顔を向けている俺はそれどころじゃない。


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