悪夢あげいん〜AKUAGE〜


 騒がしさに内心、舌打ちしてしまうと隣に座っていた五条も舌打ちをこぼしたことに気づいた。
 五条も苦手なのか。

 そんなことを考えながら俺が視線を向けた先には、生徒会がいる。
 生徒会長、副会長、会計、書記の四人だ。
 この四人は顔がいい。
 そして成績も優秀だ。
 生徒会役員になったというのも頷ける。

 しかし顔がいいからか、この四人が食堂に来るといつも今みたいな騒ぎになる。
 静かに食べたい俺としてはやっぱり食堂は避けて通りたい場所だ。

 みんなの視線がすでに生徒会に向いていることに安堵しながら再び五条へ視線を戻すと、彼も俺を見ていたらしく目が合った。


「……あのな、飯本当に美味かった」

「それは、よかったです」


 辺りが騒がしいからか、顔を寄せて言葉を続ける五条との距離感に戸惑いながらも返事をする。
 すると彼の大きな手が振り上げられたかと思うと、俺の頭をゆっくりと撫でてきた。
 振り上げられた瞬間、殴られるんじゃないかと思ったのは仕方ないことだと思うんだ。


「でな、これから毎晩、飯作ってくれねぇか?」

「それはちょっと――」


 椅子の蹴られる音は、黄色い声や野太い声によってかき消された。
 昨日といい今日といい、椅子を蹴られ過ぎて痺れる尻に耐えながら俺は小さく頷くしかなかった。


 とりあえず、そばがのびてて泣きそうだ。


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