悪夢あげいん〜AKUAGE〜


「なにを――わぷっ」


 首から下げていたタオルを引き抜かれたかと思うと、そのまま頭に被せられた。
 変な声が上がってしまったのは置いておこう。
 頭に被せられたタオルでガシガシ、と髪を擦られる。

 これは、拭いてくれてるのか?


「あ、あの」

「濡れたままにしてたら風邪引くだろ」

「……お母さんのようだ」

「あ?」


 口が滑った。

 頭を拭いてくれていた手の動きがとまる。
 短く返された声には濁音がついていたような気がする。
 黒いオーラも感じるような気がする。

 ごめんなさい、許してください。
 俺が悪かったので太ももを撫でる手を離してください。


「あの……あの、プリン食べたいかなーなんて」

「食えよ」

「だからその、太ももの手を――」

「気にすんな」


 無理です。


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