悪夢あげいん〜AKUAGE〜
(誰だあれ)
俺がこの学園で話したことある人物は寮長と五条、そして四之宮さんだけだ。
あの三人の誰かがこんな格好をするとは思えない。
ということは俺の知らない人か。
「先生、遅れてすみませんでした! 遅刻は勘弁してください!」
マリモが手を振ったことによってこちらに顔を向けた担任、三牧(みつまき)先生へ俺は頭を下げる。
チクチクと、二人からの視線が痛い。
「なあなあ、お前誰だ? 名前教えろよ!」
突然、辺りに響いた空気の読まない声にわずかに眉を揺らしながら顔を持ち上げてみる。
と、三牧先生を押し退け俺の肩を掴んでいるマリモが目の前に。
肩を掴んでいる手に力が入っているのか、すごく痛い。
痕が残りそうだ、などと考えながら『一森。ちなみにクラスはここ。よろしくお願いします』と、淡々と返してから視線を先生に移したときだ。
「俺は零(れい)って言うんだ! なあ、下の名前教えろよ!」
おい、先生と話ができないだろ!
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