悪夢あげいん〜AKUAGE〜






 何度も言うけれど、俺は平和が好きだ。
 だからこの学園で友達はつくらなかったし、美形とも話したりしなかった。
 この学園内では目立たないように生きてきたというのに。


「なあ、下の名前教えろよ! 俺たち友達だろ?」


 予想通り転入生だった零は見事、俺の隣の席だった。
 零が教室に入ってきたときのみんなの反応はすごかった。
 思わず耳を塞ぎたくなるほどの罵声だった。


「なんで無視するんだよ! 友達に名前も教えないし、一森はひどい奴だな!」


 騒がしすぎるお前ほどはひどくはないと思うんだけど。

 辺りから同情の視線、嫌悪の視線を感じては休み時間が終わるまで教室の外に出ていようと立ち上がる。
 だがその場から動くことができなかったのは、俺の動きをとめている奴がいるからだ。
 痕が残りそうなほど強く俺の肩を掴むこの手は、零のものか。


「俺はあんたのことを友達だと思ってないんで」


 肩を掴んだままの手を弾き落とし、その横をすり抜けドアに手をかけたその瞬間。


「一森! 昼は一緒に食堂に行こうな! それで許してやるから!」


 げんなりした。


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