悪夢あげいん〜AKUAGE〜


 そして先に謝っておこう。

 ごめんな、零。
 やっぱり自分の平和が大切だ。


「えっと、そこでしゃがんでる転入生の力が強くてですね」


 五条の顔がとびらの前へと向けられる。
 俺の肩に置かれたままの彼の手に力が込められ、少しだけ痛い。


「おい、そこのマリモ」

「俺はマリモじゃない!」


 零が立ち上がり、ようやく彼の姿が見えた。
 マリモヘアーのおかげで相変わらず表情はわからないけれど。


「俺は零――」

「もうコイツに近づくな」


 さえぎってまで放たれた言葉に、予想通り零は噛みつく。
 だが五条は涼しい顔で見事にスルーをしながら、無理やり脱がせた下着とスラックスを穿かせてくれた。

 いや、自分で穿けるんだけど。

 なんて軽いツッコミを内心、入れつつヤられなかったことに安堵した。
 多分、多分だけど、きっと五条は俺を本気でヤろうなんて考えてなかったと思う。
 だってこんな地味男を犯して何が楽しい。


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