悪夢あげいん〜AKUAGE〜
「一森、食券買うのもとろいからさ、俺の肉うどん半分にすることにしたから大丈夫だ!」
「……そうなの?」
「そうなんだって! そんなことよりお前、名前は? 俺は零って言うんだ!」
心配そうに俺に視線を送ってくれた四之宮さんの言葉に、まるで俺に口を開かせない、とでも言うように代わりに零が返答する。
もうどうにでもしてくれ、と苦笑いを浮かべながら俯いたその瞬間、食堂内に響き渡った野太い声と黄色い声に、俺は顔をゆがめる。
今日は来るの早いな。
いや、俺がいつもより遅いのか。
そんなことを考えながらゆっくりと顔を持ち上げると、生徒会の四人が食堂に入ってくるところだった。
相変わらず人気あるな、と顔を零に戻した瞬間、俺は目を大きく見開いた。
一体お前は誰に手を振っているんだ。
「七瀬(ななせ)!」
嘘だろ。
冗談だろ。
なんでお前、副会長の名前を口にしてるんだよ。
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