悪夢あげいん〜AKUAGE〜






 辺りに響く罵声で我に返った。
 俺の手首を掴んでいた零の手はいつの間にか離れ、こちらに歩み寄ってきていた副会長の制服の袖を掴んでいる。

 零はわかっているのか。
 生徒会に関わったらどんなことが待っているのか。
 しかもそんなに馴れ馴れしくして。

 絶対にヤバイ。

 平和を望む俺としては絶対に関わっちゃいけない人たちだ。

 息を殺しながら、音を立てないように後ずさる。
 笑顔で話をしている零と副会長が俺の存在に気づく前にいなくならないと。
 そこまで考えたその瞬間。

 突然、襟首を引っ張られたことに俺は目を大きく見開くがその動きはとまることなく、ズルズルと背後に引っ張られていく。
 あまりの息苦しさにギュッ、と目を閉じ咳き込むと俺の名前を叫ぶ声が聞こえた。


「一森! どこ行ったんだよ!」


 頼むから俺の名前を呼ばないでくれ。


「俺の友達を紹介してやるから出てこいよ!」


 友達って、それ生徒会だろ。
 零と生徒会がどこで知り合ったのかなんて興味がない。
 興味もわかない。

 だから、俺の名前を呼ばないでくれ!


「一森くん」


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