悪夢あげいん〜AKUAGE〜


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 今日は色々なことが起こる日だ。
 とは言ってもほとんどが悪い出来事で胃が痛くなりそうだ。
 まあ、今の俺は胃だけじゃなくて体全体が痛くて動けないんだけれど。


 一人で食堂を出て購買へ向かう途中、いきなり手首を掴まれ引っ張られたかと思うと一つの空き教室へと引きずり込まれた。
 引っ張られる際にバランスを崩した俺は床へと倒れ込んでしまう。
 空き教室のため机は全て端に寄せられているが、これが普通に並べられていたら突っ込んで怪我をしていただろう。
 そんなことを考えながら立ち上がろうとするが、背中への衝撃に俺は呻き声を上げるだけで体を起こすことはできなかった。

 可愛い声が罵声の言葉を放っている。
 生徒会に近付くなだとか、学校を辞めろだとかそんなことばかり。
 そこで俺は、あぁ、と誰にも気付かれない程度に小さく息を吐き出した。


(これが俗に言う制裁ってやつか)


 ならこれから行われるのは暴力か強姦か。
 できれば罵声だけで終わらせて欲しいもんだ、と余裕のあるようなことを考えている俺は手が微かに震えるほどには恐怖を感じている。
 その震えを抑えようと、手のひらに爪が食い込むほど強く握りこぶしを作るとどうじに背中に重みを加えていたものが離れ、次いで襟首を掴まれそのまま体を持ち上げられた。
 シャツで首が絞められ、腹部に感じた痛みに堪えることのできなかった呻き声が漏れる。

 少し離れた場所に可愛い系の子三人、俺の真ん前にはガタイのいい奴が一人。
 今、俺の襟首を掴んでいる奴もガタイのいい奴なのだろう。
 そんな俺よりも一回り大きい男の拳が俺の腹にめり込む。
 顔を狙わないのはバレないようにするためか。


「っ……はッ」


 息苦しさの中での腹に感じる痛みに意識が薄れてきた瞬間、まるで眠らせないとでも言うように襟首を掴んでいた手が離れ、俺はその場に崩れ落ちる。
 どうじに背中や腹、足、衣類を着ていればわからない場所を蹴られ、殴られた。
 それが数十分……いや、もしかしたら数分だったのかもしれないが俺にはとても長く感じられた。
 最後に、生徒会には近付くな、という言葉を放ちようやく教室から出て行ったことに俺は深く、震えた息を吐き出した。


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