シロクロデイズ〜prologue〜


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 体育館に辿り着くと、ちょうど校長の長話の真っ最中だった。
 あまりにもつまらないハゲ校長の話にすでに眠っている生徒もいる。

 体育館の脇でつまらなそうにぼんやりと壇上を眺めていた教員が俺の存在に気がつくと、ぎょっと目を見開いたことがわかった。
 そして慌てたように駆け寄ってきたけどすでに遅い。


「先輩、マイクください」

「はいよ」


 俺から一歩後ろを歩いていた白柳先輩から放られたマイクを受け取っては、それをオンにしてから口元まで運び音を発する。


「校長先生、すみません。俺からも一言いいですか?」


 突然マイクを通して館内に響いた俺の声に、俺と先輩とその存在に気がついた教員以外は驚いたように辺りを見渡し、ようやく俺の存在に気づくと生徒たちはざわざわと騒ぎ出した。


「君、私が話してるのにその態度はなんだね! 退学にされたいのか!」

「できるならどうぞ。校長先生の秘密が明るみになるなってもいいなら、ですが」


 校長といえども俺の存在を知らないはずがない。
 そして新しくこの学校に入学する一年生の中にも俺の存在を知っているやつはいることだろう。


「おい、もしかしてあれって白狐のシロじゃないか!?」

「なんだよ、その中二病みたいな名前」

「中二病とかバカにしたら殺されるぞ! シロは情報屋なんだよ。狙われたら最後、自分の情報を全て奪われ明るみにされて、死ぬまで追いかけるやつだぞ!」


 説明どーも。


 と、お礼を言いたいところだが。


「噂のシロはすごいことになってるな」

「俺もビックリですよ」


 若干、溜め息混じりに呟いては再びマイクを握る手に力を込め、チラリと校長へ視線を移してみると彼の顔は青ざめ、肩をブルブルと震わせ校長らしからぬ態度を見せていた。


(あれがこの学校を支える校長の姿かよ、ダセェ)


「ま、そういうことなんでもし俺から買いたい情報があったら掲示板に連絡先を載せておくんでお待ちしてます」


 お面を被っているから笑みを浮かべてもわからないだろう。
 だから俺は生徒たちが怯えることをわかっていながらも、やわらかい口調でそう言葉を続けてから踵を返した。

 さて、この中の何人が俺の獲物になるんだろうな。


「prologue」完


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